いずみとゆず

柚「いーずみチャンっ」

泉「わぁっ!ゆ、柚さん?」

柚「へへっ、レッスン終わりに誰かいるかなーって覗いていたら泉チャンがいた!」

泉「そうだったんですね、お疲れ様です」

柚「あ、タメでいいよ!」

泉「え?」

柚「アタシたち同じ15歳でしょ?なんなら泉チャンの方が誕生日早いよ」

泉「あー、そうだっけ」

柚「そうそう!」

泉「えっと、それじゃ、柚?」

柚「うん!」

泉「ふふっ」

柚「えへへ♪」

柚「あ、そういえばさっきすごいむつかしー顔してたけど、どうかした?」

泉「んー、これね」

泉「次の衣装案が来たんだけどね?」

柚「ほうほう?おー、可愛いじゃん!」

泉「うん、可愛いのはそうなんだけど、ほら、ここのパーツが特徴的でしょ?動きに影響でたりしないかなって心配になって」

柚「そうだねー、これ着たら腰のあたりに来るよね?後ろに手回したりするの?」

泉「そうそう、右手を下から横に持ってくる振り付けがあって」

柚「あちゃー、それは困ったっ。衣装を変えてもらうか振り付けを調整してもらうしかないねー」

泉「うん、やっぱりトレーナーと相談して振り付けを変えてもらおう」

柚「……」ジーッ

泉「……どうかした?」

柚「真面目なんだなーって」

泉「うーん、どうなんだろうね?私はただ出来ることをやり残したくないだけだから」

柚「なんだかアタシの友達に似てるなぁ」

泉「友達?」

柚「うん!アイドルになる前はバレエやってた子でね、すっごくストイックなの」

泉「へえ、そんな人がいたんだ。同じ事務所なのに気づかなかった」

柚「レッスンもいつもアタシより早く始めてアタシより遅く残ってて、それでも足りないって言ってる」

泉「す、すごい人なんだね……」

柚「うんっ!アタシの自慢の友達なんだっ♪」パァッ

泉「そっか……」

柚「?」ニコニコ

泉「よし、そんな人の話聞いたら私ももっと頑張らないとな」

柚「おっ、まだやるの?甘い物食べよーって誘おうとしてたんだけどなーっ」

泉(確かに、そろそろ今日の分は終わりにしてもいい頃かな?)

泉「わ、もう3時間も経ってたんだ。今日は終わりだね」

柚「お、ということは?」

泉「付き合うよ、連れてってくれる?」

柚「やったー!それじゃ荷物取ってくるね〜♪」ガチャッ

泉「……」

泉(そういえば、事務所でさくらと亜子なしに初対面の人と話したの初めてだな……)

泉(私、一人でも人と関われた……!)グッ

***

柚「泉チャンお待たせっ!しゅっぱーつ♪」

泉「ふふっ、どこに行くの?」

柚「へへっ、今日行くのはね――」

この記事は、大石泉すき Advent Calendar 2020 2日目の記事です。

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