泉とPが喋るだけ

こんにちは、第6事務所所属ニューウェーブ担当のプロデューサーです。今日は私の担当である大石泉がなぜか事務所に一人でいるのでデスクから観察しながら実況しようと思います。

断じて今日降って湧いた明日提出の書類をやるのが辛いから現実逃避をしているわけではない。

いま泉は応接用にも使われているテーブルの上で何か書いていますね。……パソコンじゃないんだなぁ。あ、ペンを持ったまま考え込み始めた。おっと目が合ってしまった。とっさに「今ふと見たら目があっちゃった」風を装ったのできっとバレてない。大丈夫。

……。……なぜかPにすごく見つめられてる気がする。たださくらと亜子に渡すクリスマスカードの文面考えてるだけなんだけど……ちょっと揺さぶりかけてみようか。……チラッ。うーーーーーん。どっちだろうなぁ……。

さて気を取り直して観察再開と行きましょう。今度は何か短いものを大量に書いている様子。ブレインストーミングか、一人しりとりか。一人しりとりする大石泉、可愛すぎるだろ。俺を誘えよ。……いやこれしりとりではなさそうだな、ちょっと話しかけに行きます。

「どうした泉、考え事か?」

「あ、P。うん、ちょっと二人へのクリスマスカードをね」

「そうかぁー、クリスマスってもうそんな近くかぁ……あ、これコーヒー入れたからどうぞ」

「ありがとう。もう、この前事務所に飾るツリー用のオーナメント一緒に買いに行ったばかりなのにもう忘れちゃったの?」

「や、忘れたわけではないんだけど、ここんとこ急に仕事が増えてきたせいか時間の感覚が昔と今日と先しかなくなってきてな」

「そっか……お疲れ様、肩でもたたこうか?」

「な、なんと!ちひろさんにも好評だったというあの大石さんの肩たたきを受けられるんですか!?」

「そ、そんな大したものじゃないよ?ちょっと早苗さんにツボを教えてもらったから本で読んでみたのを試しただけだもん」

「いやー、それでも担当アイドルに肩をたたいてもらえるなんてプロデューサー冥利に尽きますな〜」

「はいはい、いいから椅子に座って」

「わーい」

「あー、良いです」

「ふふっ、それはどうも。そういえばP」

「うん?どうした?」

「さっきテーブルにいる時にすごくPから視線を感じたんだけど」

「えっと、見てました」

「どうして?」

「観察してたら面白いことないかなーって」

「ふふっ、何よそれ」

「まぁ結局普通に話しかけた方が楽しいなってなっちゃったんだけどな」

「そっか」

「うん」

「よし、こんなところかなっ」

「ふー、結構なお点前でした」

「これで仕事にも力が入るかな?」

「そうだ、仕事……」

「ちょっともう、仕事しに事務所に来てるんだよ?また肩くらいならたたいてあげるからさ、頑張って」

「よっしゃ、担当にここまで言わせちゃ頑張らないわけにはいかねぇよなぁ!」

「ふふっ、頼りにしてるよ?」

「おう!」


この記事は、大石泉すき Advent Calendar 2020 21日目の記事です。

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