クリスマスプレゼント

業務効率化プログラムと日頃のストレスを緩和する動画が入っている。さくらの寝顔だ。スタミナ・攻コスト・守コストが全回復する。
(――「泉のプログラムが詰まったプレゼント」 説明文)

――00:20、女子寮の一室。

「よし入るよ、問題はないわね?」

「大丈夫、ぐっすり寝てるのは確認済みや」

カチャリ

「はーいPちゃんメリークリスマス!亜子やで〜」ヒソヒソ

「亜子に協力してもらってクリスマスプレゼントを今からとるよ」ヒソヒソ

「すぅ……すぅ……」

「プレゼントはこれ!さくらの寝顔!」ヒソヒソ

「やっぱりいつ見ても可愛いよなぁ」ヒソヒソ

「ふふっ、本当にね」ヒソヒソ

「何分かたったら寝顔で遊んでみるか」ヒソヒソ

「せっかく気持ちよく人が寝てるとこにそういうことする……?」ヒソヒソ

「アタシにもやってくれてええのよ?」ヒソヒソ

「ん……それならまあ、証拠映像もそろってるしいいかな」ヒソヒソ

「いずみもまあ大概よな」ヒソヒソ

「私だって遊びたい気持ちはちゃんとあるのよ」ヒソヒソ

「んふふ、変わらんなぁ」ヒソヒソ

***

――01:50、女子寮の談話室

「は〜♪ええもん撮れたなぁ」

「うん、これならPも元気になってくれるはず」

「あ、それあとでアタシにも送って〜」

「わかってるわ、この成果は亜子なしには出なかったもんね」

「しかしいずみ、ストレス緩和動画とはええアイデア思いついたなぁ。アタシも世話になってるのは同じやし、なんかそういうの思いつけたら良かったのに」

「うーん、今から同じようなものは難しいかもしれないけど、メッセージカードとかなら動画と違ってすぐみられるしいいかもよ?」

「天才か?いやいずみは天才やが。うん、メッセージカードはすごくいい」

「ふふっ、おだてても何も出ないよ?」

「あちゃ〜、バレたか〜。……って冗談は置いといて、ありがとう、いずみ。助かるわ」

「どういたしまして♪」

「よし、もう遅いし今日は寝ようか。明日もあんまり遅くまでは寝てられんし!」

「そうだね、編集は明日起きてからにしようかな」

「それじゃ、おやすみ」

「おやすみ、また明日な〜」

***

――02:15、亜子&さくらの部屋

(アカン、確かに布団の中で文面考えながら寝ようとは思ったけど、肝心の眠気が全然来ない……)

「くぅ……」

(しかしさくらもアタシらがあれだけずっと回しとったのによう寝とるなぁ)

(……久しぶりにさくら抱き枕にして寝ようか)

「お邪魔しまーす」ヒソヒソ

「……やっぱり二人は狭いなぁ、まぁ分かってて来たんやけど……」

(んふふ、やっぱりさくらはちっちゃくて抱き枕にちょうどええなぁ♪)

(Pちゃんになんて書いてあげよかな〜)

――同時刻、泉の部屋

「……」zzz

***

――09:10、女子寮の食堂

「ふわぁ……おはよう」

「あ♪イズミンおはよぉ!ねぇ聞いて!」

「おはよう、朝から元気だね……どうしたの?」

「私が朝起きたらねぇ、アコちゃんがベッドの中にいてぇ」

「え!?」

「あ、いや違うでいずみ、ただの――」

「亜子、さくらと寝たの!?」

「だから違うって言うてるがな」

「亜子ちゃん、私はそういうの表立って口出すつもりはないけど……」

「亜子ちゃんとさくらちゃんは仲がいいですね!!あっ、藍子ちゃん!私たちも一緒に寝ますか!?」

「や、だからやな」

「う、う〜ん、私たちはいいかなっ。寝相を考えると……」

「あの後何があったの!?」

「あの後ってぇ?」

「お願いやから話を聞いて!」

「……」

「……」

「アタシはただ、いずみと解散した後部屋に引き上げて!それで寝付けなかったからさくらを抱き枕にしながら寝ただけ!それ以上のことはなにもなかった!」

「あー……」

「さくらの抱き枕適性はいずみも知っての通りやろ?」

「確かにね、うん……とりあえず納得したよ、疑って悪かったわ」

「ん……許します」

「えへへぇ、ふたりとも仲直りぃ?」

「ふふっ、そうだね。とりあえず朝ご飯にしよう?」

「さんせーい。アタシお腹ぺこぺこや」


この記事は、大石泉すき Advent Calendar 2020 25日目の記事です。

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